医学部に入学した皆さん、入学おめでとうございます。
入学した直後は多くの不安や悩みがあり、大変だと思います。
その中でも、医学部の新入生にとっての直近の課題、そう、それは「部活選び」です。
多くの医学部新入生が思っていることは、おそらくこんな感じでしょう。
「みんな入ってるからやっぱり入らなきゃいけないのかな?」
「入るにしてもどの部活に入れば良いのかな?」
「相談するにしても知り合いの先輩なんていないし、友達もまだできていないし。。もうどうすればいいかわからん!!!」
僕も同じでした。笑
大丈夫、みんな気持ちは同じです。
結論から言うと、「めっちゃその部活に入りたい!」「やりたいスポーツや活動がある!」といった部活の活動自体に熱意のある人以外は無理して入る必要はないと思っています。
僕は現在医学部6年生ですが、1年生のとき部活の新歓に行きまくり、悩みに悩んで部活を決め、さらに部活をやめた経験もあります。笑
そこで今回は、部活に入る必要があるのか、部活に入るメリット・デメリットについて、詳しくお話ししたいと思います。
医学部の部活とは
そもそも医学部の部活ってなに?
大学の部活と聞くと、体育会系のガチ勢の人達が入るところ、というイメージの方が多いかもしれません。
しかし、医学部の部活というと、その認識は間違っています。
結論から言うと、「医学部の部活」=「大学に公式に認められたサークル」と認識していただければ問題ありません。
大学にもよりますが、医学部以外の学部がある大学でも、基本的に医学部のみの部活が存在します。
※大学によっては、医学部だけではなく、医療系(看護、薬学など)の部活として活動しているところもあります。
医学部のみ(医療系学部のみ)の部活が存在する理由としては、以下のような理由で、他学部の大学生と一緒に活動するのが難しいためです。
- 他学部とキャンパスが違う
- 他学部に比べ必修の授業が多く、部活やサークルに充てる時間が限られている
- 長期休みや試験期間などスケジュールが他学部と異なる
- 医学部や薬学部は6年制であり、卒業のタイミングが異なる
また、それに関連して、医学部のみの体育会系の部活の大会(いわゆる、「東医体」「西医体」)といったものもあり、医学生の部活は他学部と基本的に交流はありません。
そして、この医学部のみの大会があるために、大学に公式に認められる必要があり、名称としては「部活」ということになっていると思われます。
なので、「部活」だからといって、平日も土日も毎日のように練習があるといったことはありません。
忙しさに関しては、本当にその部活次第といったところでしょう。
基本的に、週1~3で活動しているところがほとんどな印象です。
医学生の部活加入率
「なんだ、サークルと同じかー、じゃあみんながみんな入るわけないんでしょ」と思うでしょ?
しかし、なぜだか医学部は部活加入率が異様に高いのです。
僕の肌感覚だと、大体9割近くの人が何らかの部活に所属している印象です。
全日本医学生自治会連合の調査データでは、
在学生(2年生以上)の部活所属率はなんと87.4%と、
僕の感覚とほぼ同じ調査結果が出ています。
(出典:全日本医学生自治会連合 実態調査)
なぜこんなにも高いのか。もうこれは未だになぜかわからない。
普通に考えておかしくない??9割部活入ってるって高校生ですか??文武両道を掲げる自称進学校か何かですか??
医学部の七不思議の一つと言っていいでしょう。
誰か理由知ってる人教えてください。
部活に入るかどうかの判断基準
新歓が始まると先輩たちが部活に入るメリットやデメリットといったことをいっぱい言ってきます。
ネットにも医学部の部活に入るメリットやデメリットが、つらつらと書かれているサイトはいっぱいあります。。
しかし、最初に考えるべきは部活に入るメリット・デメリットを考えることでしょうか?
違います。一番大事なのは、あなたが大学生活をどう過ごしたいかです。
医学生は他学部の大学生に比べて、授業や実習が詰まっていて、比較的忙しいです。
その中で、バイトをしなければいけない人もいるでしょう。
ただでさえ普通の大学生に比べて忙しいのに、部活に入ればさらに時間はとられます。
医学部6年間は長いようであっという間です。なんとなーく過ごしていると、ほんとに何もせずに終わってしまいます。
4年制の学部を卒業した同級生は2年も先に社会人になります。
浪人してる人であれば、もっとでしょう。
医学部の高学年といえど学生は学生。社会人の経験値にはかないません。
医学の勉強と部活だけやって医師になった人と、医学の勉強と同時に社会に出て必要になる知識や能力を鍛えていた人、どちらが社会に出てうまくいきやすいでしょうか。
基本的に医学生は進級さえできればいい、卒業さえできればいいと、いかにさぼるかを考えている生き物です(笑)。
これは僕もそうでしたから否定しているわけではありません。
最低限の目標はそこですからね。
でも、周りにはこういう人が多いということは知っておきましょう。
環境に人は流されます。
周りが遊んでるからそれでいいんだ。となってしまう。
貴重な学生時代、医学生が忙しいといっても社会人になって医師として働きだしてからに比べたら全然時間があります。
まとまった時間がとれるのは今だけです。
その時間をどう使うのか、まずはそれを考えましょう。
僕自身、もっと有意義なことに時間を使えばよかったなあと今後悔しているからこそ、みなさんには同じ後悔をしてほしくないから、お伝えしています。
「部活に打ち込むことも人生の糧になっている!」と言われそうですが、僕は別に「部活に入るな」と言ってるわけではないのです。
「みんなが入ってるから、とりあえず不安だから、どこかの部活に入ろうかなー」という気持ちで部活に入ることはお勧めしないと言っているのです。
次からは、部活に入るメリット・デメリットなどはそこまで重要なことではないと僕が思う理由をお伝えします。
よく言われる部活に入るメリット
部活に入るメリットでよく言われるのは以下のようなものでしょうか。
- 先輩や後輩といったタテのつながりができる。
- 試験のまとめ資料や、過去問などを手に入れやすい。
- 友達ができる。
- 息抜き/暇つぶしになる。
それぞれについて、僕の個人的意見を述べたいと思います。
先輩や後輩といったタテのつながりができる →これが最大のメリットだが…
部活に入る最大のメリットはこれでしょう。
部活に入ることで先輩や後輩とのつながりができます。
特に、先輩やOB・OGとのつながりはとても役に立ちます。
直近の1個・2個上の先輩には、自分の来年・再来年のスケジュールや忙しさ、科目の情報などを直接仕入れることができます。
また、高学年になると、研修病院の情報などが楽に手に入ることもあるでしょう。
研修病院を考える上で、仲のいい先輩に相談したりもできるかもしれません。
飲み会などでOB・OGと関わる機会もあるでしょう。
実際に現場で働いている医師と話をすることで、実際の医師の本音や、自分の医師のキャリアなどを考えるきっかけになったりします。
医学部でタテの関係を作る方法は、部活に入るほかは、研究室に入るくらいしか思いつきません。
つまり、ほぼ部活に入ることでしか得られないメリットといえるでしょう。
そのため、僕は部活に入る最大のメリットはこのタテのつながりができることだと思います。
(後述しますが、これ以外に部活に入ることでしか得られないメリットはないです。)
と、ここまではいいことしか書きませんでしたが、多くの人は前提をすっぽかしています。
それは、部活に入ったからといって、タテのつながりができるわけではないということです。
何を言っているかというと、部活に入っただけでつながりができるわけではなく、
部活に入ったうえで、人間関係をうまくやって、仲のいい先輩を作って、そこで初めて意味のあるタテの関係が作れるのです。
薄っぺらい知り合いの先輩なんてそこまで意味を成しません。
単なる来年のスケジュールなり、忙しさなり、そういった情報はヨコから(同級生から)でも手に入ります。
価値があるものは、気軽に個人的な相談や質問ができるほど仲の良い先輩です。
正直に言って、そこまで関係性が深くない先輩に質問のLINEを送るのはかなりハードルが高いです。
特に先輩なので、「忙しいんじゃないだろうか」「迷惑だと思われないか」など、かなり気を使います。
僕の友達でも、部活に入っていて先輩から多くの情報をもらい、「先輩からその病院おすすめされたわ~」とか、タテのつながりを存分に利用できている友達もいれば、
部活に入っていても、大して仲の良い先輩がおらず、先輩からの情報など皆無といった人もいます。
結論として、部活に入る ≠ タテのつながりが作れる ということは知っておきましょう。
試験のまとめ資料や、過去問などを手に入れやすい →関係ない
どこの新歓でも先輩が言ってきます。
部活に入らないと、過去問とか、試験のまとめとか、手に入らなくて大変だよ。
うちの部活に入れば、歴代の過去問と、頭のいい先輩が作ったまとめを全部使えるよ!
これは、何も知らない新入生を不安にさせて、どこか部活に入らないといけないという固定観念を植え付ける言葉です。
決して真に受けてはいけません。
基本的に過去問や試験のまとめは、部活に入っていなくても、ヨコから(同級生から)普通に手に入ります。
僕の大学では、過去問に関してはドライブで全学年に共有されていました。
(ものによっては20年前の過去問とかあるんだよ……)
もちろん、同級生から試験資料をもらうには、ある程度友達を作らなくてはいけません。
「じゃあ、やっぱり友達を作るためには部活に入った方が作りやすいんじゃないの?」と言われそうですが、大丈夫です。
コミュニケーションが少し苦手でも、試験情報を共有する知り合い程度はみんなできます。
医学部は、他学部と違って、必修科目がほとんどのためほぼ同じメンバーで授業や実習を受けます。
なので、そういった面では中学・高校と近いため、友達は作りやすい環境だと思います。
中学・高校のときに、学校に1人でも友達がいた人は問題ないですし、いなかった人も少し話せる知り合いがいたということであれば、おそらく問題ないでしょう。
まあ、こういった環境でも友達を作れない人は、多分部活に入っても友達作れないですよ……
ちなみにこんなことをアピールしてくる部活もあります。
1個上の学年には去年学年〇位と△位だった先輩がいるから安心だよ!!
もうこれに関しては意味が分かりません。
学年上位の先輩がいる部活に入ったからといってあなたの順位は上がりません。
その先輩のまとめが使えるとかであれば、上述のように横から回ってきます。
あとは、直接教えてもらえる可能性もありますが、それはその先輩と関係性を築けたらですからね…
友達ができる →顔は多少広くなるかもしれない
「とはいっても部活に入ることで友達はできやすくなるんじゃないか」と考える人もいるでしょう。
これは実際の僕の周りを見渡してみた感想としては、
- もちろん部活関係の友達/知り合いは増える
- だが、一番仲のいい友達は同じ部活の友達となっていないケースの方が多い
新歓の時にある先輩も同じようなことをおっしゃっていたので、おそらくどこも同じ感じなのだと思います。
考えてみれば至極当たり前で、部活を選ぶ段階で既に仲のいい友達というケースは、高校が同じとかでない限りありません。
多くの場合、自分の興味があった部活に入るため、そこに同じく入った同級生と気が合うかどうかは分からないのです。
友達同士で一緒に入ったとしても、入学後1, 2か月の友達なんて、学籍番号が近かったとか、たまたま近い席に座ったとか、そういってできた関係なので基本的に長くは続きません。
1年生の前期につるんでた友達と2年生になってつるんでいる友達が違うなんてざらです。
そのため、友達を作るために部活に入るというのは、労力に見合ってる理由とは思えません。
というか、普通に友達を増やしたかったら、授業の前後とかにいろんな人に話しかければいいんですよ。
友達を作りたいというのは部活に入る目的にはならないですね。
息抜き/暇つぶしになる
この項目は本質じゃないので、飛ばしてもらっても大丈夫です。
まあこれだけを理由に部活に入る人はいないよね。
息抜きになる
これ聞きたいんですけど、どういう人が言ってるんでしょう?
ちゃんと全ての授業に出て、授業に出るだけじゃなくて全ての授業で先生の話をちゃんと聞いて、先生が授業中に漏らす試験のポイントをメモして、試験も1か月前から準備している優等生ですか?
間違っても、出席だけ取りに教室に来てすぐに出て行ったり、試験前に優等生のレジュメを借りて試験のポイントを写したり、試験1週間前に「やばいやばい」とか言ってる人じゃないですよね?
言いたいことは以上です(笑)
※一応言っときますが、僕も別に前者のような優等生タイプではないです。
息抜きになることもあるのは事実ですが、
大事なのは部活で何をするかなのであって、これは部活に入る理由にはなりませんよね。
暇つぶしになる
もうこれこそ、貴重な学生の時間を大事にしてくれとしか言えない。
部活に入るデメリット
ここからは部活に入るデメリットです。
特に、部活をやりたい!と思っている人に見てもらいたいです。
これらのデメリットを考慮したうえでもやりたいと思える熱意がある人はぜひ部活に入ってください。
時間がとられる
当たり前ですが、部活に入ると時間がとられます。
これは部活の活動自体の時間だけではなく、ミーティングや飲み会など、部活に入ることで自分の自由に使える時間は確実に減ります。
時間は一番貴重な資源ですから、これが当たり前ではありますが、最大のデメリットかなと。
お金がかかる
部活に入ると想像以上にお金がかかります。
部活の活動に使う道具のほか、飲み会代、遠征代、部費、新歓代などかなりお金がかかります。
コストという面では、お金と時間は一緒に考えるべきでしょう。
コスト(お金と時間)を使ってでも部活をやりたいかが部活に入りたい人の争点だと思われます。
人間関係がめんどくさい
これは実際に周りを見てきた体験談ですが、部活で関係がこじれた人達は本当にいっぱいいます。
「え、そこ、いつの間に絶縁状態になったの?」みたいな人達ざらにいます。
もう本当に巻き込まれたら絶対めんどくさいです。
まあ人は生きている限り人間関係を避けては通れないですから、これが嫌だから部活に入らないというのも違うとは思いますが、こじれたらめちゃくちゃめんどくさそうだよということは頭の隅に置いておきましょう。
部活を選ぶ際の注意点(新歓での注意点)
ここまで読んできて、それでも部活に入りたい!という人に部活を選ぶ際の注意点をお伝えします。
端的に言えば、新歓での注意点です。
新歓はお祭りです。
まるで、新入生は神様です。と言わんばかりの扱われ方をします。
部活からすると、新歓は新入生の取り合いなんですよね。
なので、表面上はその部活の良い点、悪い点を教えてくれて中立な立場に見えるかもしれませんが、上級生はいわば営業マンです。
新歓の期間は、新入生にいい思いをさせようと、奢ってくれるし、めちゃくちゃ優しいですし、めちゃくちゃ愛想もいい。
「え、なに、先輩たちめっちゃ優しいじゃん!!」と思いがちですが、騙されてはいけません。
新歓は、”勧誘”なのです。営業マン上級生の印象は6割増しくらいに思っておきましょう。
「入ってみたらイメージが違った」というのはよく聞く話です(経験談)。
なので、部活を選ぶときに、「先輩たちがいい人そうだったから!」と人で選ぶのは大変危険です。
部活の活動自体に興味を持てるか、忙しさ、自由さ(飲み会参加必須、自主練の日とか言いながら実質強制だったりしないか)など、比較的客観的な情報を重視しましょう。
客観的な情報に関しては、聞けば先輩たちは基本的に正直に答えてくれます。
嘘をつくメリットはないですからね。
医学部の部活についての個人的見解
僕自身、部活にがっつり浸かった人間ではないですし、医学部生活のほとんどを部活に入っていない期間として過ごしたので、実際に部活に入っていた人からすると、
「いやいや、もっといい点いっぱいあるわ、ぼけ!!実際に入ってないやつが何を言ってるんだ!」
と言われそうですが、あくまで一意見として参考にしていただければ幸いです。
繰り返しになりますが、僕は部活に入ることを否定しているわけではありません。
部活に入ることで、タテのつながりができるなどメリットがあり、大学生活の過ごし方の一つの選択肢だと思います。
大事なのはあなたが大学生活をどう過ごしたいかと言った通り、「大学生活を部活に入って過ごしたい」という思いがある方は、ぜひとも部活に入ってください。
ただし、
「部活三昧で、留年しちゃった(・ω<) テヘペロ」とならないようにだけは注意しましょう。
結構よく聞きますよ…笑
ここまで読んできて、それでも迷っている方へ
入らないで後悔するくらいなら入って後悔しましょう。
とりあえず入ってみて、合わなければやめるというのも全然ありです。
医学部で部活をやめるのはよくあることです。全く珍しい話ではありません。
ただ、初期費用がめちゃくちゃかかる部活は慎重に判断しましょう。
やめる場合、お金をドブに捨てることになります(経験談)
まとめ
- 部活に入るのは必須ではない。
- 一番大事なのは、あなたが大学生活をどう過ごしたいか。時間をどう使いたいか。
- 「大学生活を部活に入って過ごしたい」という思いがある人は入るべき。
- 「みんなが入ってるから、とりあえず不安だから、どこかの部活に入ろうかなー」という気持ちで部活に入ることはお勧めしない
- 部活に入る最大のメリットは、タテのつながりができることだが、部活に入っただけで、タテのつながりができるわけではない
- 部活に入る最大のデメリットは、時間を取られること。
- 部活の新歓ムードでちやほやされて、まんまと騙されてはいけない。
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