今回は、医師国家試験対策の予備校の動画講義の使い方についてです。
国試対策と言いましたが、CBT対策でも同様です。
医師国家試験対策の予備校とは、Q-Assist、Medu4、MEC…etc. といったものですね。
(ここでは通年講座(国試対策に必要なメジャー、マイナー、産婦小児、公衆衛生といった講座)に関してお話します。)
わざわざ使い方なんて教わる必要あるのかと思うかもしれませんが、
周りを見ていると成績があまり良くない人は結構共通して良くない使い方をしているんですよね。
いや、そんなやり方だと身につかんだろ…とか、
いや、そんなやり方だと効率悪いだろ…とか。
なので、医師国家試験を経験した立場から、予備校動画講義は
- こんな使い方がおすすめ!
- こんな使い方はやめとけ!
といったことをお話できたらと思います。
予備校の動画講義はこう使え!
予備校の動画講義は以下のような使い方をすることをおすすめします。
- テキストの問題もちゃんと解いて、解説も見ろ
- テキストの暗記にこだわりすぎず、問題演習ベースで暗記箇所を押さえていけ
- できれば2周以上しろ
1,2は重要です。勉強方法が間違えてる人は基本この2つができていません。
3に関しては、時間がない人には厳しいかもしれませんが、まだ国試まで時間がある人はできれば2周以上することをおすすめします。
2周目以降はテキストは書き込み済みですし、再生速度も上げることができると思うので、自分が見れるギリギリまで再生速度を上げて見れば1週目とは比較にならない速度で終えられます。
テキストの問題もちゃんと解いて、解説も見ろ
予備校の通年講座の講義は、基本的に講義と問題演習に分かれています。
動画時間だと大体半々くらいなので、早く終わらせるために問題演習は飛ばして講義だけ受けるやつが出てきます。
「問題演習はQBでやればいいじゃん?」って?
俺から言わせれば、もったいないの一言です。
もちろん1つ1つ完璧主義になりすぎて、全然進まないより、全体をさっさと1周してしまった方がいいというのは僕も同意ですが、問題演習と解説をすっ飛ばして進めて1周終わっても、おそらく問題を解く知識は全く身についていません。
むしろトータル時間の無駄になります。
ある程度の丁寧さは大事です。
動画講義の問題演習をしっかりとやって、解説を聞くメリットは
- 講義を受けた直後に問題を解くことで理解度を計ることができる
- 講義で扱った内容の中で、重要な箇所が把握できる
- 問題を解く上で、必要な知識とそうでない知識が分かる
- 臨床問題の解き方が感覚的に分かる
一つずつ見ていきましょう。
講義を受けた直後に問題を解くことで理解度を計ることができる
講義受けただけだと分かったように気になりますが、問題を解いてみるとちゃんと理解ができていなかったりすることは結構あります。
講義で扱った内容の中で、重要な箇所が把握できる
問題を解く上で、必要な知識とそうでない知識が分かる
この2つは一緒に解説します。
講義では知識を体系的に教わることができますが、講義を受けただけでは
☑重要な箇所はどこか
☑その重要な箇所をどの程度の精度で頭に入れておく必要があるか
☑発展的ではあるけど知っておいたほうが良い箇所はどこか
は完全には把握することはできません。
(もちろん講師の先生は重要箇所は強調してくれますが完全に把握するのは無理です)
問題演習はこれらをすべて解決してくれます。
2つ目の
☑その重要な箇所をどの程度の精度で頭に入れておく必要があるか
とは、1つの知識を取ってみても、国試の問題を解く上でどの程度まで頭に入れておけばいいかは異なるということです。
例を挙げましょう。
国試では様々なスコアリングを覚える必要があります。
例えば、Apgarスコア。新生児の全身状態を評価するスコアですね。
これはすべての項目とそれぞれの点数に該当する状態、正常が何点以上なのか、それ以下であればどのような状態なのか、を知っておく必要があります。
つまり、表すべてを自分で一から書ける状態まで頭に入れておく必要があるということです。
次に、SOFAスコア。敗血症の診断に用いられるスコアですね。
敗血症のスクリーニングに用いられるqSOFAは数値も含めすべて覚える必要がありますが、SOFAスコアは項目に何があるかを知っていれば十分です。
しかも国試の受験生レベルでSOFAの項目をすべて言えたらめちゃくちゃ優秀な部類です。
いやてか正直ギリギリの子は知らなくてもいいレベルです。
つまり結構発展的な内容なわけです。
結局この、「どこまで知っていればいいか」を決める基準は何でしょうか?
ずばり、
①今までの国試にそのレベルの知識を必要とする出題がされたことがあるかどうか
と
②出題されたことがあるならば、どれくらいの頻度で出題されているのか
これのみです。
Apgarスコアは
①はもちろん◯で完全に暗記できた知識を必要とするし、
②出題頻度は頻出と言ってもいいくらいです。
対して、SOFAスコアは
①は◯ですが項目だけを知っていれば解ける問題ですし、
②出題頻度はそんなに多くありません。
これは問題演習して解説を聞けば、自ずと把握できることです。
テキストの知識には重要度の濃淡があります。
それを問題演習をすることで把握し、覚える。
これが国試の勉強です。
臨床問題の解き方が感覚的に分かる。
臨床問題は結構解き方があったりします。
臨床問題の構成は基本的に同じで、
まず、年齢と性別、次に主訴→現病歴→身体所見→検査→(治療)、、、、と続いていきます。
このときに、
- 主訴だけである程度鑑別を上げることができた方がいいもの
- 身体所見でこの所見があったら/検査でこの数値が上がってたら、国試では鑑別疾患は〇〇と△△と▢▢
- その場合、検査の××に違いがあるからそれを確認する
- それぞれの検査結果の解釈(異常所見なのか、正常所見なのか)
こういったものは臨床問題を解いて、解説動画を見て、先生の解き方を見てみないと身に付きません。
QBの解説では身につかない能力です。
テキストの暗記にこだわりすぎず、問題演習ベースで暗記箇所を押さえていけ
前項とは逆に、テキストの暗記にこだわりすぎて、完全に暗記してからじゃないと問題演習に移らないといった子がたまにいます。
これは前項の話からもつながるのですが、
テキストの知識の重要度には濃淡があり、その濃淡を知るすべは問題演習しかありません。
なので、講義動画を聞いたら、暗記はある程度にとどめて、すぐに問題を解いてみましょう。
問題を解いてみて、必要だった知識を覚えてなかったらすぐにテキストに戻っていいのです。
その時に、精度の高い暗記が必要な知識だと分かれば、そこで暗記すればいいのです。
完璧主義、だめ、ぜったい。
できれば2周以上しろ
講義動画はできれば2周以上できるのが望ましいです。
6年生で時間的に厳しい人には無理は言いませんが、5年生以下でまだ国試まで時間がある人は2周以上する前提で予定を組むことをおすすめします。
2周以上するメリットとしては
- 2周目をすることで埋もれてしまった知識を呼び起こすことが可能
- 分野間で共通する知識だったり、似たような知識を整理できる
まず、1周目はかなり時間がかかると思いますが、そうすると問題になってくるのは1周目の最初の方にした科目は全然覚えていないということです。
2周目をすることでその埋もれてしまった知識を呼び起こすことが可能です。
次に、一通り全分野終わったのちに2周目に入ることで、分野間で共通する知識だったり、似たような知識を整理できます。
これが案外重要です。
2周目に問題演習してると、1周目はさらっと解けた問題も、「あれ?これってあれとは違うんだっけ?」と似たような知識が混同してしまうことがあるんですね。
これがあったらしめたものです。
自分が混同しやすい知識を発見できたのですからね。
その機会にしっかり区別して、対比した上で、頭に入れておきましょう。
2周というとかなり時間がかかるように思うかもしれませんが、1周目に丁寧にテキストに書き込みをして、問題演習とその解説をしっかり聞いた人は、2周目は倍速で聴くことができるのでそんな時間はかからないはずです。
Q-Assistであれば、動画は2.75倍速まで速度を上げることが可能です。
1周目は初めて知る知識ですし、書き込みもありますから、難しいでしょうが、2周目であれば案外いけます。忘れている箇所だけ、速度を落としてみるというのもいいです。
(話す速度は講師によって違うので、Q-Assistでは清澤先生はゆっくりめなので2.75倍は結構いけますが、盛永先生は早口めなのでもう少し遅めで聞いてました)
まとめ
以上、国試対策の予備校動画講義の使い方でした。
まとめです。
- テキストの問題もちゃんと解いて、解説も見ろ
- テキストの暗記にこだわりすぎず、問題演習ベースで暗記箇所を押さえていけ
- できれば2周以上しろ
結局言いたかったのは、
予備校のテキストの知識には濃淡があるので問題演習ベースで必要な知識を頭に入れていこう!
というお話でした。
問題演習をしないのは言語道断です。
講義を聴く→問題を解く→テキストに戻って暗記→問題を解く→テキストに戻って暗記→・・・
このサイクルが国試の勉強です。
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